2012/06/29

がん研って、知ってますか?

がん研有明病院という形でご存知の方が多いだろうか。
お台場にあるきれいな病院で、東京はもちろん関東一円から患者が集まってくるがん専門病院。
手術件数も非常に多く、医師達の中でも、手術がやりやすい・環境が整っていると評判らしい。


そのがん研の先生方が、『ロハス・メディカル』2011年4月号~2012年5月号に連載していた記事をベースに加筆して、本にしたそうだ。
加筆され、まとめられた書籍自体を読んではないので、書評ではないが、
以前のロハスメディカルでは、代替医療のことも取り上げていたし、緩和ケアについても、早期からの介入に触れていたので、改めて、このタイミングで読んでみたい。
(さっき、ポチッと買ってしまった・・・)
感想は、読んだ後に。


2012/06/24

書評: 「糖尿病治療」の深い闇

ノンフィクション作家の桐山氏自身が糖尿病と宣告され、糖質制限食に取り組んだ話。
自身の話だけでなく、糖質制限食批判を『異端視』されていると表現するように、糖質制限食による食事療法がポピュラーな治療として選択肢にあがってこない日本の糖尿病治療の批判も。その批判は、製薬会社などにも触れている。

糖尿病は患者によってどのような治療があうかは、医師の判断もさることながら、患者自身の取り組み姿勢など、様々な要因が重なっているだけに、簡単な結論を出すことはできないが、ガイドラインなどに記載がなされていないといった話は、確かに・・・と思うこともある。

また、海外の事例として、アメリカでは以下のような食事療法の選択肢が提示されていることを取り上げている。
1.カロリー制限食
2.糖質管理食(カーボカウンティング)
3.地中海食
4.糖質制限食

よく海外の話で聞くのは、whiteからbrownに。白砂糖より黒砂糖、白米より玄米、小麦粉は全粒粉、といった具合だ。地中海式食事も確かに流行っているらしい。注意しなければならないのは、食事療法だけで完璧というわけではなく、運動療法や薬物療法を適切に組み合わせることだ、という説明が必ずなされている。これは海外だけでなく日本も同じだ。

カロリー制限も重要だが、どういったこと取り組むべきなのか、個々の患者の状態や性格にあわせ適切な食事療法や運動療法、薬物療法を提案できる医師(栄養士や看護師も含めたチームが理想か)というのが、これから求められる姿なのだと思う。
日進月歩の治療薬に踊らされることなく適切な治療を提案してくれる医師に出会えたら、患者は本当に幸せだ。
この本は、医療者側でなく、患者側の視点もあり、そう強く感じた。

2012/06/23

書評: 主食を抜けば糖尿病は良くなる!

「糖質制限食のすすめ」という副題がついており、よくありがちな食事を勧めるだけの本かと思っていたが、他の本でありがちな、糖質制限食がベストで唯一の答えであるかのような記載は弱く、個々人の代謝を考慮し、食事管理を行うことが重要だ・・・という医師らしいメッセージが見えてくる。
脂質と糖質、カロリーのことは、この本でもよく理解できる。
海外の論文でも、糖尿病のリスクの1つとして、白米が注目されている。
White rice consumption and risk of type 2 diabetes: meta-analysis and systematic review (http://www.bmj.com/content/344/bmj.e1454)
糖尿病治療薬を飲む、という選択肢の前に、代謝の観点から食事を見直し、適切な栄養素を摂取できるよう自己努力が必要だ。

そして、糖尿病の人で、病院で栄養指導を受けるとき、カロリーコントロールの話しかしてもらえなかった人は、もしかしたら、はずれの病院かもしれない。

2012/06/18

書評: がん治療を受ける前に知っておきたい55のこと

国立がんセンターの病院長が、がんセンターがベストは限らない、と書いている本だ。
中身は、すでに知識・情報がある方にとっては、あまり驚くべき内容は含まれていない。
診療・治療がガイドラインに沿って行われていることや、がん自体や治療内容が分かりやすく書いてある。

55のことが書いてあるが、一番強調したいこと、言いたかったことは、最後の55番目に書かれているように思う。

あとは、医者の言い訳や、言い逃れと感じてしまう点もあり、立場上、致し方ないのでは・・・と思わざるを得ない点もあるが、最後、55番目は、何度読み返しても、診療の現場にいる人でなければ、書けないメッセージのように思う。

なお、43番目、抗がん剤治療で病院は儲からない、というくだりは、何も知らない読者は、へぇそうなんだ、と思うかもしれないが、儲かっている病院もあるし、やりくりが下手で儲からない病院もある、と理解した方が正しい。誰も儲からない制度が何年もそのまま続くことはそうそうないはずだ。

「治療を受ける前」というよりは、「がんかもしれない??と思ったとき」の方が適切なように思う。

2012/06/15

高福祉高負担にならないためには


7PM、カンブリア宮殿を、昨日・今日と見た

7PMでは、最後、医療コーディネーターのことが紹介されていた。
セカンドオピニオン、ドクターショッピング等の話もあわせて触れられていたが、書籍やインターネットから、ある程度情報が得られる今日、患者はより正しい情報を得ようと労力を割くことは当然の流れだと思う。
ただ、患者は医者に対する敬意を忘れず、サービスを受ける側として権利を振りかざすようなことは絶対にしてはならないし、また、医療者側も、患者に対し無理に謙る必要も権威的になる必要もなく、親身になり、思いやりのこころを忘れずに医療を提供することが重要なのではないだろうか。

自分の話になるが、およそ30年前、かかりつけの、火鉢の置かれた寒い待合室でよく長いこと待たされた。いざ診察が始まると、医者はたばこを吸いながら自分を診てくれた。カルテを書きながらたばこを吸っていた。産科が専門なのに、喘息でも、目でも、歯でも、何でも診てくれた。本当に世話になった。夜中でも無理を言って診てもらった。まさに、医者に感謝と敬意を決して忘れていなかった時代だ。

医療を良くする上では、お互いが「相手を思いやる気持ち」がますます重要であり、
少なくとも医者が患者を「患者様」と呼ぶようなことだけでは、その気持ちは、医者も患者もお互い生まれてこないのではないだろうか。


カンブリア宮殿は、亀田のK棟の紹介をメインに・・・といった流れだったが、途中で用事ができてしまったため、続きは後日ビデオで。
途中までだが、K棟のハード的な面のすばらしさはお金をかければ、どこでも真似できるのだろうが、病院玄関付近での患者の介助などスタッフのマインドは、なかなか真似できないのではないだろうか。
改めて、病院は、ハードは良いに越したことは無い、ソフトは絶対に良くしないといけない、だと思った。
なお、ハードは、ここ15年、耐震基準の見直し等の理由により、建替えが多い。これも、いくらでも立派なものを作ればよいかというのではなく、長期的なビジョンに基づき、地域の実情にあわせたハードのレベルを決めるべきなのだが、実際、立派な病院を見学し、今日の亀田のような事例を見ると、どこも立派なものが欲しくなるようだ。
この負担が、自分たちの医療費(現在はもちろん、将来も)にかかってくることを忘れてはいけない。高福祉高負担を許容することは、重く負担の圧し掛かる若者世代の未来を暗くするだけだ。

高負担にしない鍵は、医者と患者、両方のソフト的な面の改革なのではないだろうか。
2つの番組を通じて改めて感じた。

2012/06/11

今週の気になるテレビ番組


今週は、7PMの企画が興味深い。
カンブリア宮殿の亀田の特集は、目新しさは無いかもしれないが、一般人向けの切り口がどのように表現されるか観てみたい。
また、NHKきょうの健康は、高血圧がテーマ。

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NIKKEI×BS LIVE 7PM 病院での不満や疑問に医師が答えます!?
■6/13 (水) 19:00 ~ 19:55 (55分)
■BSジャパン(Ch.7)
■番組概要
豊かな暮らしの指針となるトーク満載、オトナのための新・報道経済番組!毎週水曜は“病気にならない"ための健康と医療に関する情報をお届けします。
■番組詳細
今回はいつもと趣向を変えて、医療全般の内情や問題に詳しい医師2人を招き、私たち患者が普段思っている病院での診察に関する不満や疑問に答えていただきます。何故そうなってしまうのか、それは改善されるのか、逆に患者側はどうすればそのような嫌な思いをしないで済むようになるのか、国の医療制度から医療現場の実態も踏まえながらお話しいただきます。

【ゲスト】   森田豊(医師、医療ジャーナリスト)   秋津壽男(総合内科専門医、秋津医院院長)    【MC】高樹千佳子 野田稔(明治大学大学院教授)    【解説】藤井省吾(日経ヘルス編集長)

ゲストを迎えてのトークのほか、経済を中心としたニュース、トレンド先取りの新商品情報もお伝えします。  
〈番組HP〉  http://www.bs-j.co.jp/7pm
〈番組Facebook〉http://www.facebook.com/bsj7pm
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カンブリア宮殿【全国から患者続々の超人気病院 患者も医師も大満足のワケ】[字]
■6/14 (木) 22:00 ~ 22:54 (54分)
■テレビ東京(Ch.7)
■番組概要
全室オーシャンビューの個室、14種類から選べる病院食、院内で楽しめるお酒と美容…極上サービスで大人気!しかも黒字経営!南房総の「亀田メディカルセンター」に注目!
■番組詳細
千葉県鴨川市。東京から車でも電車でも2時間のこの町に、全国から患者がやって来る病院がある。「亀田メディカルセンター」だ。救急救命センターと33もの診療科を擁し、大学病院を除く私立病院としては日本最大規模を誇る。しかも、病院ランキングで常に上位に食い込む人気ぶり。「最高の医療」だけでなく、病院とは思えない極上サービスを徹底追求しているためだ。

全病室がオーシャンビューの個室。病院食は14種類のメニューから選択可能。院内にはお酒が飲めるレストランあり、ビューティーサロンあり…。「病院というのは誰も長くはいたくない場所。だからこそ最高のサービスが必要なんです。」と院長の亀田信介は語る。全国の病院の6割が赤字経営に苦しむ中、医師、看護師がベストを尽くせる環境を提供しながら黒字経営を成し遂げる経営術に迫る!

【ゲスト】  亀田メディカルセンター院長・亀田信介  【メインインタビュアー】  村上龍  【サブインタビュアー】  小池栄子

【ホームページ】  www.tv-tokyo.co.jp/cambria    
【公式ツイッター】  cambrian_palace
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2012/06/10

書評 抗がん剤・放射線治療と食事のくふう

抗がん剤・放射線治療と食事のくふう 症状で選ぶ!
がん患者さんと家族のための (がんよろず相談Q&Aシリーズ)

家族が、知人ががんになったとき、今まで直面したことのない、多くの困難にぶつかる。
そんなとき、おいしい食事を囲み、団欒するひとときは、かけがえのない時間になる・・・はずなのだが、患者が何だか味が違う、おいしくないともらすことがあったり、患者が食事を作った場合には、味付けがおかしい、といったこともある。
特に、化学療法を受けている場合、味覚の変化はある程度仕方ないと思うが、食べる気力が失われていく姿を目の当たりにして、放っておける人は少ないのではないだろうか。

自分も、家族ががんにかかったとき、アイスが食べたい、XXが食べたい、色々聞いては、用意をしても、いざ食べ始めると、一口で、おいしくない、と言われ、残りを自分で食べるようなことがよくあった。

味覚がどう変わっているのか、どういったものが喉を通りやすいのか、そのときなりに一生懸命考えたつもりだが、理解が足らなかったと反省している。

今日紹介する本は、前半はレシピ本のような体裁、後半は症状別のアドバイスとなっていて、気楽に眺めることもできる。
また、本の中身はウェブでも公開されているため、まずは下記のサイトを見ることを勧める。

サバイバーシップ(http://survivorship.jp/)

患者の声はもちろん、栄養士だけでなく、医師、看護師からのアドバイスを載せている点は、非常に参考になるのではないだろうか。例えば、「白血球減少時のアドバイス」として、ナマモノを避け、加熱したものを、なんていうコメントは、なかなか他の本では見かけることができないだけに、ぜひ、手に取っていただきたい本である。

なお、海外の書籍では、もっと簡単なフレーズだけを取り上げ、説明しているものも見られる。
日本では中身が足らないように思えてしまい、売れないのかもしれないが、患者が、その家族・周囲の人が理解するためには、そういった本も良いように思う。今後、紹介しようと思う。


2012/06/09

セミナー紹介: がん患者さんのための公開講座:これからの人生を豊かに「もっと知りたいがん治療」

今月末開催のセミナーの紹介。
個人的にはnarrative medicineの話が聞きたい。
Evidence based medicineとNarrative based medicine、どっちかだけが絶対的に正しいというものではなく、両者を理解し、共存させることが最もよい医療、医療者であると思っている。
事前申し込みが必要のため、興味がある方はお早めにどうぞ(30日は別件の調整があって、まだ予定が決まっていないため、申し込みできないのだが、もう満席だったら、困るな・・・)


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案内チラシ(http://www.teamnet.or.jp/images/seminar/pdf32.pdf)


セミナー案内 http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cancernavi/info/201206/525159.html


日時:2012年6月30日(土)14:00~17:00(開場13:00)

場所:東京大学医学部附属病院 中央診療棟II 7階 大会議室(東京都文京区)

プログラム:「もっと知りたいがん治療」~希望への挑戦~


講演1 「がんと免疫 ~がんワクチンと細胞治療~」
垣見和宏氏(東京大学医学部附属病院 22世紀医療センター 免疫細胞治療学講座 特任准教授)


講演2  最先端医療を語る
放射線治療を中心に新しい治療への挑戦 ~患者が期待する新しい医療~
早川和重氏(北里大学病院 副院長 [放射線部長・教授])


講演3 ナラティブメディスン(人生の物語を聴く医療) ~患者さんの心に寄りそう電話相談~
毛利祐子氏(「がん心のケアの会」がん心のケアホットライン 代表)


主催:これからの“がん医療”を考える患者の会、東京大学医学部附属病院 22世紀医療センター 免疫細胞治療学講座

後援:共同通信社

協賛:メディネット

参加費:無料(要事前申込み)

定員:80名(先着順)

2012/06/07

書評はじめます ~ がんになったら手にとるガイド ~

医療関係、特に病気にかかった人向けの本は、巷にあふれている。
また、インターネットの情報は日々増え続けていて、正確なボリュームを量ることすらできない。
時間があるならば、片っ端から情報を収集し、理解していけばよいのだろうが、
自分の経験上、多少、はずれを引いてしまうことは避けられない。

書籍に関しては、amazonか書店で買うことが多いのだが、
amazonにはamazonの長所が、書店には書店の長所があると思っている。
amazonはお勧めや関連する書籍の紹介や、レビューは参考になる。
書店は平積みされている本をぱらぱらとめくりながら流し読みして、思わぬ良い本が見つかったりする。

そこで、何かの参考になることを期待して、
これまで読んで感銘を受けた本など、お勧めを紹介していきたい。


今日は、その一例として、「がんになったら手にとるガイド」を紹介する。

世の中の様々な情報に流されてしまう前に、まず、基礎的な理解を、認識を共有しておくことは非常に重要ではないだろうか。医師の言うことを正しく理解するためにも、医師に適切に質問するためにも、家族と意義ある会話をするためにも。

これは、インターネットで読めるものであり、まずは、下記のリンクから、興味があるところを読んでみてほしい

「がんになったら手にとるガイド」
http://ganjoho.jp/public/qa_links/hikkei/hikkei01.html

ガイドのトップページ
http://ganjoho.jp/hikkei/index.html

かなりのボリュームがあるので、実は無料のPDFであっても、家のプリンターで印刷するとインク代や紙代が、かえって高くついてしまう場合がある。
そこで、家族で読みたい場合や、持ち歩いて読みたい場合には、印刷・製本されたものを買ってしまうのも手である。amazonのページを開いて、そのコメントもぜひ見てもらいたい。
(このガイドであれば、「各がんごとの説明は十分でない」といったコメントがある。広く浅く、網羅性を重視したガイドのため仕方がない。ただ、「専門書へのリンクがあれば・・・」というコメントは、そのとおり!!とうなずいてしまった)



継続的に、本を中心に紹介していきたい。(三日坊主にならないように・・・)