2012/10/18

「不妊治療に民間医療保険、解禁へ」のニュースを読んで

不妊治療。どのくらい費用がかかるか、ご存知だろうか?

様々な治療があり、その上、保険外の自由診療での治療が多いため、金額もマチマチだが、近年件数が増加している体外受精であれば、1回50万円とも言われている。

昨日の日経の夕刊によると、民間保険の解禁に向け、金融審議会(首相の諮問機関)で議論を進め、来年の通常国会に保険業法の改正案提出を検討しているとのこと。

2012/10/17 日経 夕刊の記事の電子版

不妊治療は、金銭的な負担はもちろん、精神的な負担も大きいだけに、せめて、民間医療保険でカバーされ、金銭面だけでも多少補うことができれば、非常に良いと思う。

ただ、保険の基本だが、保険契約者に払う保険金の元は、契約者から集めた保険料である。
不妊治療に特化した保険(特約も含む)を販売する場合、契約したがる人は、自らが既に不妊で悩んでいる人である可能性が高くなってしまう。結果として、保険金支払対象が多いならば、保険料は高く設定せざるを得ない。そう、『逆選択』だ。

また、不妊治療は、費用期待値(1回あたりの体外受精金額と女性の年齢に応じた妊娠率で算定)が分かる。30歳と40歳では、費用が異なるため、40歳で保険に加入しようとした場合、非常に高い保険料になることが想定される。

そのようなことを踏まえると、保険としては、不妊治療で、体外受精をせずに妊娠する人もいれば、体外受精を10回する人もいて、様々な人の平均の費用よりも、たくさん費用がかかってしまう後者(体外受精10回の人)を、平均よりも費用がかからなかった人(前者)が助けてあげようとする仕組みになるのではないだろうか。

少なくとも、自分の頭では、不妊で悩んでいない人が、不妊の人を助けてあげられるような仕組みにできるとは思えない。
本来であれば、20代前半・半ばの人たち(女性に限らず、男性も)が、医療保険に加入した場合、現在ある医療保険のように通常の疾患での入院や通院、手術がカバーされ、加えて、不妊治療もカバーされる仕組みにより、同世代(幅広い世代であれば、なお理想的)で、不妊治療を支えることが理想だと思う。

また、保険提供側に期待することとしては、保険金支払を抑制するためにも、質が高く、効率的な不妊治療を提供している病院を選別する機能を果たしてもらいたい。(理想論すぎかもしれないが)

最後、本当であれば、民間保険ではなく、フランスを参考に、健康保険でカバーすることを考えてもらいたかった。日本には少子化担当大臣もいるというが、何か具体策がなされたという話は聞いたことがない・・・