2013/05/28

クラスに1人は体外受精で産まれてきた子供がいる時代



昨日、厚生労働省で「第2回 不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会」を傍聴してきた(資料等は下のリンク参照)。

不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会審議会資料|厚生労働省

今回は学校教育における妊娠や不妊などの内容について文科省から説明があり、教科書行政の一端を垣間見ることができた。

文科省からの説明では教科書も引用され(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000032xh1-att/2r98520000032zz9.pdf)、これまで性教育の中で高齢になると妊娠する可能性が低下したり、リスクが高まることを指導していなかった、高校は今年の教科書から多少記述が増えた、といった説明だった。

参加していた委員からは「卵子は有限であること、卵子の機能が劣化することを説明しなければ、高齢になると妊娠しにくくなることの本質が伝えられない」「不妊治療の説明で、『薬での排卵誘発がもっとも一般、卵管形成術や体外受精も』とあるのは最新の状況にそぐわない」といった意見が出ていた。すでに日本では2.7%程度※が体外受精で産まれたこどもである

※2010年の出生数 約107万人 出所:厚生労働省 人口動態統計 平成22年(2010年) 確定数、
2010年度分の体外受精による正産数29,000人弱 出所:日産婦誌64巻 9 号 平成23年度倫理委員会 登録・調査小委員会報告、それぞれより推定

2.7%という数字は37人に1人、つまり35人学級では、約1人が体外受精で産まれてきた子供なのだ。不妊ということが珍しいことではなく極めてありふれたことであり、そして体外受精も決して特別なことではないということを教えるべきなのではないだろうか。(この比率は出産年齢の高齢化など社会的な背景に加え、生殖医療従事者の努力の賜物でもあるはず)

教科書の改訂は10年ごとが目安とのこと。文科省の担当者は「今年、高校の教科書は新しくなったばかりなので、今、意見を言ってもらっても・・・」とばつが悪い顔をしていた。医療や社会の変化に教科書と教える人間が追いついていない。副読本などで補うしかないとのことだが、不妊だけに時間を割くことはできないだろうし、正直、厳しそうだ。

いっそ、この本を1時間くらいで各自が読めばよい気がしてしまった。

不妊治療や教科書については、以前のブログでも取り上げている(下はその一例)


これらについては次の弊社レポートmeditur insightでまとめる予定だ。昨今、女性手帳の話題をはじめ、何かとニュースになることが多いだけに正しい情報、適切な情報を整理できるよう心がけたい。