2013/08/16

細胞を凍らせてフレッシュさを保つ

近年、凍結融解胚移植による出生児数が急速に増えている。
出所:日本産科婦人科学会. 2010年生殖補助医療データブック
凍結融解胚移植(Frozen Embryo Transfer, Frozen-ET, FET)とは、体外受精や顕微授精によりできた胚(受精卵)を凍結保存し、採卵した周期と異なるタイミングで融解して子宮内に移植する方法である。

採卵した周期では排卵誘発剤などの影響もあり、子宮内膜等の子宮内の状態が着床にとって必ずしもベストとはいえないため、なるべくベストなタイミングで融解した状態の良い胚を戻すことにより、着床率のアップを期待する手法で、合理的である。

さらに、高い着床率・妊娠率を期待し多くの胚を移植したい反面で多胎妊娠の可能性が高まるため、良好な受精卵が数多く得られたとしても、1回の治療周期で戻せる受精卵の数は限定されており「もったいない」という意識が少なからずあったが、当手法により残った良好な受精卵を凍結することで無駄なく使うことができ、母体にとっても採卵の負担が軽減される。凍結融解胚を用いたことが理由となるデメリットも確認されていないようで、今後もますます増えていくことが想定される。

ちなみに、この手法を知って、先日、植毛領域の最先端を行く専門家に「毛包幹細胞の凍結保存はできないか?」と聞いたところ、まだそんな技術はないとのこと。30代のまだ活きが良いフレッシュな細胞を将来の自分のために残しておきたいのだが・・・・。