2014/10/10

治癒率の減少はDPCの弊害か!?(前編)

先日の中医協で、DPCの退院患者調査の結果に異論が出たらしい。「治癒率が年々低下しているのはどう考えるのか?」と。

傍聴していないので、下記のようなニュースサイトの記事から判断するに、DPC対象病院は治癒率が下がり、出来高病院は上がっている、とのこと。

【中医協】退院患者調査の結果案に異論 | 医療経営CBnewsマネジメント

グラフにしたものをご覧いただければ、その指摘が納得感の高いものであることをご理解いただけよう。

治癒率の推移
出所:厚生労働省 2013年度DPC公開データ(2014/9開示)を基に作成

しかし、その場で「なぜ下がっているか」まで答えられるべきだったのではないだろうか。何も、この傾向は今年から始まったことではない。

医療現場で様式1を作っているスタッフなら、誰もが知っているであろうことだが、「治癒」を選べる疾患は少ない。そもそも『患者』が少ないのではなく、『疾患』が少ないと書く点も留意いただきたい。

簡単に言えば、入院したら、すっきり問題がなくなり、完全に治癒したと言える疾患なんて、ごくわずかなのだ。分娩や異物除去、小児の気道炎やインフルエンザなんてところが、治癒を選ぶ王道である。

つまり、現状の転帰の選択肢では、どんなに医療者が技術の進歩や革新を起こそうとも、適切に推し量ることは困難だろう。

分娩の患者割合が減って、がん患者が増えたのではないだろうか。治癒率の減少なんて、そのくらいの意味しかない・・・といっても、推測でものを言っても仕方ないので、少し検証してみたい。

前編終わり。中編(10/11公開予定)、後編(10/12公開予定)に続く

治癒率の減少はDPCの弊害か!?(中編)
治癒率の減少はDPCの弊害か!?(後編)