医療、福祉に貢献するために

医療、福祉に貢献するために
~ 株式会社メディチュア Blog

2015/12/23

外国人(国籍別)の医療サービス利用状況を都道府県別・月別で把握できる 〜RESASのアップデート〜

今年は爆買いのニュースをよく耳にした。
神戸新聞NEXT|社会|神戸港客船数5位転落 中国から九州入港“爆増”
上記の記事に登場する上位5港のうち、今年一年で那覇港だけは行っていないが、あとは何回も行ったところだ。それゆえ、爆買いの威力を目の当たりにすることも多かった(手持ちの写真に、「九州のとある街の調剤薬局のカウンター前にわずかに置いてあるOTCに大勢群がるアジア人観光客」というのがあるのだが、どう加工しても薬局が特定できてしまうだけに掲載するのは見送った)。また、「ホテルが取れない」という問題になって、自分の仕事にも直撃を受けた。

爆買いの話はそのホテルが取れない件は別として、純粋な仕事と無関係と思いきや、RESASのアップデートがあり、仕事とも関係性を感じる興味深い内容の分析ができるようになったようだ。

www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/resas/pdf/h27-12-15-press_verup2.pdf
地域経済分析システム(RESAS)第Ⅱ期開発 の2次リリースについて
平成27年12月15日
内閣官房 まち・ひと・しごと創生本部事務局
内閣府 地方創生推進室

(リリース文を読むと「機能拡充」とあるので、アップデート以前から機能があったのかもしれないが・・・)外国人消費分析で、都道府県別・部門別(この中で「医療・健康サービス」で絞り込みができる)に、外国人の国籍別の月別消費金額を見ることができる。

RESAS画面上の注記には下記のようにある点に注目したい。

【出典】ビザ・ワールドワイド・ジャパン株式会社のカードデータに基づき、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局作成
【注記】
ここでいう消費額とは、外国人観光客がクレジットカードを使用した消費額を地域別のシェア率等から算出した金額のこと。
ここでいう国籍とは、カード所有者の居住地をさす。
(RESAS分析画面から一部を引用)

VISAカードのデータということは、銀聯カードの情報がどこまで含まれているか分からない。ただ、東京、大阪、兵庫、福岡、長崎などのデータを見てみたところ、自分の思い込みとは違う点もあり、なかなか興味深いデータを見ることができそうだ。

2015/12/22

CCRC=うば捨て山? さすがにそれは違うのでは・・・

先週土曜の日経地方版に南魚沼市のCCRC構想がまとまったことが載っていた。ネットで調べると、下記の構想(案)があった。

南魚沼版 CCRC 構想(案) 2015 年 11 月 南魚沼市www.city.minamiuonuma.niigata.jp/uploaded/attachment/13710.pdf

これまで様々なところで議論されてきた多世代交流など色々なアイデアがてんこ盛りに書かれており、CCRCの教科書的なものと言っても良いかもしれない内容だ。

ただ、まだまだ懐疑的な見方をしている人が多いとしたら、それは次の点ではなかろうか。
大都市からの移住者をシニア住宅の主たる入居者として想定する(上記南魚沼版CCRC構想(案)から引用)
本当に大都市から移住する人はいるのだろうか??

直近のニュースが報じている内容を引用すると、毎日新聞では15市町、3,500人の計画がすでに検討されているらしい。

高齢者移住構想:3500人計画 15市町が受け入れ - 毎日新聞

ただ、Bloombergの内容は冷静な側面も報じている。

高齢者に移住の選択、地方創生かうば捨て山か-豊島区から秩父へ (1) - Bloomberg
区は11月、住民5000人を対象に秩父移住の意向を問う調査を開始したが、高齢者の反応は芳しくない。JR駒込駅近くの商店街で製麺業を営む71歳の女性は、区報で秩父移住構想を知った。住み慣れたところが一番 ...
区は11月、住民5000人を対象に秩父移住の意向を問う調査を開始したが、高齢者の反応は芳しくない。JR駒込駅近くの商店街で製麺業を営む71歳の女性は、区報で秩父移住構想を知った。住み慣れたところが一番だと話し、長年税金を払ってきたのにまるで厄介払いみたいだと反発する。3代続けて文具店を営む85歳の男性も、地元には小学校時代からの仲間もいるとして、移住に難色を示す。 

高齢者の反応が芳しくないのは想定できる。さらには「厄介払い」とネガティブな反応を示す人もいたとのことだ。現状より相当メリットが多くなければ、移住しようとは思わないだろう。少なくとも、現在の住まいを捨てるという判断は難しいだろう。

定年前後で都心の住まいを捨て地方へ移住する人は、今でもある一定ボリューム存在している。このようなCCRCの計画はその地方での理想的な生活を送りたい層のボリュームを増やそうとしているのだろう。シェア金沢のような先進的な取り組みをニュース等で見ていると、その考えが伝わってくる。

Share金沢[シェア金沢]

豊島区の高齢者アンケートは、今から10年前か20年前に訪れたであろう定年前後のタイミングでは田舎暮らしに憧れなかった高齢者だけ(憧れた少数派はすでに地方へ移住したに違いない)に聞いたのだから、当然ながら、反応は芳しくないに決まっている。

つまり、アンケートは高齢者に聞くのではなく、定年前の人々をターゲットにすべきであるように思うのだが・・・。(地元で商店を営んでいる85歳の人に聞いたところで、移住したいと言うわけがない)

ただいずれにしてもCCRCを好む人は少数派であるように思うのだが、これも大都市部で医療・介護の供給が追いつかなくなれば、そうは言っていられなくなるのだろう。

2015/12/21

小学校区でも中学校区でもない「公民館エリア」

先週の日経朝刊のニュース。
政府は18日、地方創生のための国の施策を盛り込んだ「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の改定案をまとめた。中山間地の中心集落に生活に不可欠な施設を集めて、交通手段も確保した「小さな拠点」を2020年に全国に1000カ所設置する目標を盛り込んだ。拠点集落を全国1000カ所に 地方創生戦略改定案 :日本経済新聞)  

地方創生の具体的な目標として、「小さな拠点」を1,000ヶ所設置、ということが盛り込まれたようだ。昨年末に公表されたまち・ひと・しごと創生総合戦略 -概要-(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/pdf/20141227siryou4.pdf)で「小さな拠点」のことを知ったのだが、「多世代交流・多機能型」 という考え方は、中山間地のみならず、どこでも通用するものだと思う。

すでに島根県では52地区が拠点づくりに取り組んでいるらしい。(17日の日経地方面の記事を参照)
島根県は過疎地域で買い物や医療、金融など生活に必要な施設を集約する「小さな拠点」を現在の約3倍に増やす方針を打ち出した。地域おこし協力隊や行政と市民活動をつなぐ中間支援組織の人材を確保し、地域サービス維持に向けた住民参加を促す。(中略) 県は227地区の「公民館エリア」を地域運営の基本単位に設定している。現在はこのうち52地区が小さな拠点づくりに取り組んでいる。これを4年間で150地区に増やす。

「公民館エリア」という考え方は興味深い。というのも、小学校区・中学校区といった考え方は、過疎地域では、意外と広域になってしまう。地域包括ケアシステムで考えているエリアが都市部と過疎地域で異なることは当然のことながら、「公民館エリア」という概念は、普遍的な考え方かもしれないと思った。ただし、公民館エリアの人口が500人足らずのところと、1万人のところではもちろん違う。その上で、生活機能を集約するという考え方の中に、どのような医療が必要か考えることは有益なのかもしれない。

例えば、関連する下記の報告書を読んでみた。

「小さな拠点」の形成に向けた新しい「よろずや」づくり(「公民連携によるまちなか再生事例に関する調査研究事業」報告書)平成27年3月 www.soumu.go.jp/main_content/000380232.pdf

その中で、次のように言及されていた。
高齢者の主な外出先は、病院や福祉施設などに偏りがちであるが、地域に馴染みの商店があれば、元気な高齢者は、買い物も兼ねてその商店に毎日訪れることができる。「よろずや」は、地域の拠点となることで、高齢者に対して外出のきっかけを提供する貴重な施設となる。
逆手に取れば、病院に「よろずや」機能があれば良いと考えることもできなくはない。すでに病院の中には、そのような考え方で施設整備しているところも出てきている。

地方創生の話題は医療と非常に関連性が高い。公民館エリアでの取り組みにも注目してみたい。

2015/12/16

『”出会い”を満載したイベント』に疲労困憊

昨日開催されたデータヘルス・予防サービス見本市。

データヘルス・予防サービス見本市2015 |厚生労働省

この厚労省のウェブサイトには、 次のように書いてあった。
効果的・効率的な健康増進・予防施策を実現するための”出会い”を満載したイベントです。
参加体験型のコンテンツを多数ご用意しています。是非お誘い合わせのうえご参加ください。

まるでディズニーランドのような大行列
自分も会場まで行ったのだが、あまりの行列に、そのあとの予定の関係で、見学は断念。

もらってきたパンフレット
スタッフは2時間半以上並んで見てきたらしく、パンプレット等を見せてもらった。

スタッフ曰く、「まるで、ディズニーランド」

なぜなら、長い行列、そして、アトラクション(=会場)に入ったら、ちょっと暗い小部屋に入れられ、『データヘルスの時代の幕開け』みたいなビデオを見せられたから、と。

『”出会い”満載』を期待していたスタッフは、行列に並んでいたときに芽生えた『2時間半の即席の戦友たち』とそのビデオを見たらしく、戦友たちは失笑していたよ、と冷めた感じに報告してくれた。




その様子はテレビやニュースサイトでも報じられていたようだ。


素敵な”出会い”はあったのかもしれないが、寒空の下、2時間半の行列で残ったのは、疲労だけだったようだ。

2015/12/13

【初心者向け企画】分析の初歩を学ぼう 第5回 多峰性のヒストグラム

先週、スタッフが多峰性ののヒストグラムを作ろうとして、年齢別の外来受療率の棒グラフを作ってしまった(【初心者向け企画】分析の初歩を学ぼう 第3回 多峰性のヒストグラム(実践的なヒストグラム作成の続き))が、失敗を恐れて何もしないより、失敗でも重ねた方が着実に経験を積むことができる・・・と言いたいところなのだが、「多峰性のヒストグラムはちょっとパス」ということなので、スタッフの代わりに分析事例を紹介したい(Masaru Watanabe)

関節リウマチの手術なし症例で、かつ処置2あり(生物学的製剤の投与・リハビリ・人工呼吸等あり)のDPC公開データ(2014年度実績)について分析した。

在院日数2日刻みでヒストグラムを作成した結果が下のグラフだ。
<関節リウマチ 手術なし 処置2あり>の施設別在院日数の分布
「2日以上4日未満(グラフ中は『2日以上』と表記)」が最も多く、それ以外にも「10日以上12日未満(『10日以上』と表記)」、「20日以上22日未満(『20日以上』と表記)」にピークが見られる。30日以上もピークのように見えるが、これは30日以上すべての施設が計上されているため、ピークと判断するには注意が必要だ。

多峰性のヒストグラム=「多峰性となる理由」が背景にある

ここからがヒストグラム分析の面白いところだが、多峰性になるときには大抵何らかの理由がある。答えから先に言ってしまえば、病院によって、入院内容が大きくことなるためである。

3日以内の短期入院の多くは、生物学的製剤の投与入院であり、それなりのリスクを伴う治療のため、入院し経過をみるケースだ。一方で10日程度では、自己注射の導入教育入院や、リハビリ教育入院を主体とした病院である可能性が考えられる。リハビリ入院では3週間前後が最も多いはずであり、その比率が高い病院は、平均在院日数が長くなる。

このような「多峰性になる背景」は、別の資料からも読み解くことができる。それは参考資料2で公開されている『(6)診断群分類毎の集計』である。


この関節リウマチの手術なし処置2ありのDPC公開データ上は、同じグループで扱われてしまっているが、実際には様々な症例が混じっていていることが分かる。

トシリズマブやアバタセプト、インフリキシマブであれば、在院日数の中央値が2日か3日と非常に短い一方で、アダリムマブでは7日、リハビリでは22日となっている。多峰性となっている理由が分かれば、様々な症例を一緒にまとめ算出した平均在院日数など無意味であることが分かるだろう。

どうしたら「多峰性となる理由」に気がつけるか

ウェブ上の情報を調べたり、専門書を読んだり、専門家に聞いたりするのもひとつの方法だろう。しかし、いつでも都合よく情報が得られる訳ではない。そんなときは、ヒストグラムを様々な切り口で「料理」してみると良いだろう。

冒頭のヒストグラムについて、年間症例数の多さで3つのグループに分け、それぞれのヒストグラムを作成してみた。すると症例数の多い群では、在院日数の長い病院がほとんど見られない。


この3つのグラフから、症例数が多い病院とそうでない病院ではそもそもの診療内容に違いがあるのでは?と考えることができる。さらに、さきほど紹介した『(6)診断群分類毎の集計』の在院日数の情報などを見れば、なぜ多峰性になったか理解できるだろう。

多峰性は、すなわち「複数の単峰性のグラフの重ねあわせ」である可能性を真っ先に考えるべきかもしれない。そのようなときには上のような分割する切り口を探すことは有益な手段と言えよう。

なかなか毎回うまく行くというわけではないが、参考にしていただければ幸いだ。

2015/12/11

【初心者向け企画】分析の初歩を学ぼう 第4回 散布図

2015/12/12 赤字でコメント書きました Masaru Watanabe

次は散布図ということで、散布図についてまず調べてみました。(多峰性のヒストグラム、ダメだしされてしまったのですが、そのやりなおしの前に、散布図ができあがっているので、まずこちらを載せます)

散布図をwikiさん(散布図 - Wikipedia)に聞いてみると、
散布図(さんぷず)とは、縦軸、横軸に2項目の量や大きさ等を対応させ、データを点でプロットしたものである。 各データは2項目の量や大きさ等を持ったものである。 散布図には、2項目の分布、相関関係を把握できる特長がある。 データ群が右上がりに分布する傾向であれば正の相関があり、右下がりに分布する傾向であれば負の相関がある。
と書いてありました。

ヒストグラムの回で使用したテキストをみると、まず相関分析について学んでから散布図をつくる流れとなっていました。

ふむふむ、何か関係の強そうなものを図にしてみたらよさそうです。
前回、ヒストグラムを作成したときに、病床数の多い病院と少ない病院に分けて他院より紹介ありの率をグラフ化したら、ヒストグラムに明確な差が出ていたから、病床数と他院より紹介ありの率は関係があるような気がします。

ということで、病床数と他院より紹介ありの率を散布図にしてみました。

散布図の作成方法をみると、なんと簡単なんでしょう。
データを項目ごと選択して、挿入タブから散布図のグラフを選ぶだけ。

→選択した範囲に異常値や文字列などがなければ簡単に表示されますよね。

できた散布図がこちらです。


なんとなく正の相関がありそうです。

→散布図は、ある程度ボリュームのあるデータであっても、相関関係を確認できる手段として優れていると思います。「なんとなく」という考え方も大事で、とりあえず散布図を作れば、仮説の「なんとなく」のレベルでの粗い検証が可能という点で便利です。

 この散布図、エクセルのような便利なツールがあるから、『とりあえず・・・』が通用するのですが、かつては、方眼紙に手でプロットしたりしていたらしく、相当な作業負荷だったらしいです。


相関があるかどうかは、本によると係数を使って判定するようです。

さっそくやってみましょう。方法も2つ載っています。CORREL関数を使用するか、データ分析タブの相関を使用するか。両方やってみました。

【関数で計算】
=CORREL(散布図!B2:B1805,散布図!D2:D1805)  → 0.447181121

【データタブからデータ分析、相関を選択して計算】


結果はあたりまえですが同じです。

本によると相関系数0.4は非常に弱い相関・・。

相関係数※ 相関の強さの目安
~0.3未満 ほぼ無関係
0.3~0.5未満 非常に弱い相関
0.5~0.7未満 相関がある
0.7~0.9未満 強い相関
0.9以上 非常に強い相関

※相関係数は絶対値

→弱い相関です。この相関係数の読み方は非常に難しいです。学術的な検証では、単にこの数値で判断するのではなく、N数との関係など、非常に神経質になる部分です。

 ただし、弊社の分析は、学術的な色は薄く、病院の意思決定などに有益な情報や判断材料を得る目的が強いです。そのため、相関係数を意識するようなケースはそこまで多くありません。


気を取り直してもうひとつ作成してみます。病床数と救急医療入院の率で。
できた散布図はこちら。



そして、相関係数は。

-0.108362269

あらあら、ほぼ無関係ですか。

関係性のあるデータを予測して可視化するのでしょうが、関係性のあるデータをむやみに探しても関係性のあるデータにたどりつくのは難しいようです。

逆にいえば、関係性があると思い込んでいたものでも、散布図にしたり,相関係数でみてみれば、無関係だってわかったりするということでしょうか。

→「相関がない」ということが分かることは「相関がある」ことが分かることと同様に非常に重要なポイントです。ただし、相関係数だけを見て「相関関係がない」と言い切るのではなく、散布図も併せてみることが重要です。

この病床数と救急医療入院の比率の関係性で言えば、病床数が少ない病院では、極端に救急医療入院割合の高い病院が見受けられます。しかし、病床数が多くなれば、救急医療入院割合の高い病院はなくなります。背景には、救急医療入院は病床数ではなく、診ている疾患で決まるという事情があります。

病床数が少ない病院には、脳梗塞専門病院のような救急医療入院が大半を占める疾患だけを診る病院が含まれています。しかし、病床数が500床、600床を超えれば、そのような専門病院は「がんセンター」といったようなところがあるくらいで、ほとんどは総合病院になります。そのため、救急医療入院の割合が高い疾患も低い疾患も診ているケースが大半であり、結果として、救急医療入院割合は極端に高い値にならないのです。

相関係数だけを見て「関係性はない」と判断するのではなく、散布図のおかげで、このような救急医療入院割合の数値の特徴が可視化できました。散布図を書いたから、その数値の背景を考えることができたのか。それとも数値に対する仮説があり、散布図で確認できたのか。にわとりが先かタマゴが先か、のような議論ですが、いずれの場合であっても、散布図が役に立つと言えるでしょう。

下の図を見て下さい。同じ救急医療入院の散布図に赤枠をコメントを書きました。


適当に書いた赤枠ですが、この枠内に99.3%の病院が収まっています。外に出てしまった0.7%程度の病院にはどのような特殊性があるか考えてみるだけでワクワクしてきませんか? そして、枠からはみ出た実際の病院名を見たらドキドキできるんです。

ちなみに、1200床弱のところで枠を大きくはみ出て、上の方(救急医療入院の割合が4割弱)に位置しているのは、ずばり、倉敷中央病院です。

医療関係者なら、ご納得いただける『特殊性』ですよね。

散布図って、とても面白いんです。

2015/12/10

患者に不透明な別グレードの料金請求

昨日の中医協の議論。病棟単位での7対1と10対1などの組み合わせが認められることになりそうだ。

中央社会保険医療協議会総会審議会資料 |厚生労働省

【中医協】7対1の移行、病棟群単位で促進 | 医療経営CBnewsマネジメント

看護師の必要人数の激変緩和、病院経営における収入の激変緩和には必要な措置だと思う。

ただ、患者の視点では微妙な制度だ。

たまたま7対1のベッドが空いていたから、簡単な検査入院で7対1に入院した人と、手術をする患者で、ちょうど10対1しか空いてなかったので、10対1に入院した人とでは、入院基本料だけで比較すれば、検査入院の人のほうが高くなることを意味する。

病院側の都合で、入院料が左右される事態は、非常に不透明であり、納得性に欠ける。この納得性を高めるには、看護必要度などの厳格化と、情報の開示・透明性向上だと思う。

ホテルで30階以上の部屋は特別なクラス・別グレードになっています、といったケースを見かけるが、これには納得性がある。

病院も別グレードができるなら、納得性が不可欠であり、激変緩和だけに重きを置いてはいけないだろう。

2015/12/09

JAMA | Payer and Policy Maker Steps to Support Value-Based Pricing for Drugs

以前、NEJMの高額な薬剤費に関する評論記事についてブログに書いた。

じゃがいもとパンから医療費を考える

先日JAMAにも費用対効果に基づく薬価設定に関する話題が載っていた。

JAMA Network | JAMA | Payer and Policy Maker Steps to Support Value-Based Pricing for Drugs

その一部を引用する(日本語訳は弊社の意訳)。
Although spending on prescription drugs has generally increased in line with spending on other health care services, in 2014 drug spending increased by 12.5% compared with 5% on all other parts of health care. For some patients, this has meant that out-of-pocket expenses for drugs now are thousands of dollars, an expense that can lead patients to skip doses, exhaust their savings, and sometimes end up in bankruptcy. (処方薬の医療費は他のヘルスケアサービスと同様、増加の一途だが、2014年、ヘルスケア全体では5%の伸びであったのに対し、処方薬は12.5%の伸びであった。患者の中には数千ドルの自己負担が重く、飲むのを止めたり、貯蓄を使い果たしたり、時には破産するようなこともあります) 

Until the 1950s, 1980s, and late 1990s, hospitals, physicians, and nursing homes, respectively, were paid based on what they chose to charge. Since that time, they have all transitioned to payment models anchored to the attributes or components of the services they provide. A long-term sustainable model for pharmaceutical products will depend on a transition to a system in which prices are linked to the value of products, with payers and regulators providing the right incentives to make adopting those prices a sensible decision for companies.(1950年代、80年代、90年代後半まで、病院、医者、ナーシングホームは、出来高払いだったが、提供サービスに基づく包括払い制度に移行している。保険者や行政は費用対効果に基づく値段付けを適用してくれた製薬会社に適切なインセンティブを与え、製品の価値に基づいた値段付けシステムへの移行させることが長期的な持続可能な医薬品モデルの構築に重要である)

医療制度が出来高払いから包括払いに変化してきたことなどの背景は、費用対効果の議論を支持することになるだろう。高騰する薬剤費は、単に抑制すればよいのではなく、行政や保険者が費用対効果に基づく価格設定を行うことで、製薬メーカーに適切なインセンティブを与えるべきだろう。

調剤報酬のうち、薬剤費は費用対効果の議論が今後重要になってくるだろう。では調剤技術料は?? 本来であれば費用対効果に基づく議論がなされるべきだろうが、次の改定ではあくまでも薬局に行く回数などで議論がされている様子を見ると、まだまだ時間がかかりそうだ。

2015/12/08

ネスカフェドルチェグストで抹茶味のパーソナルカプセルを飲む


気になる。

HOME|ネスレ ウェルネスクラブ

ウェブサイトを見ると、ネスカフェドルチェグストで飲む抹茶味のパーソナルカプセルが届くらしい。月1万5千円という値段設定や、1年続ける前提での契約しかできないことからも、中身は相当本気っぽい。

気になる。

診療報酬改定で受療行動を変える ~「○○がオトク!」 マスコミが食いつく情報の出し方~

調剤報酬について、次期改定に向けた中医協の議論が活発になってきている。直近の議論の内容を報じたニュース記事を読むと、かかりつけ薬局・薬剤師の理念を診療報酬にどのように反映させるか議論がなされ、具体的な報酬制度が提案されているようだ。

同じ薬局2回以上利用で患者負担減- お薬手帳の活用促す、厚労省 | 医療介護CBニュース



引用した記事の前者は、同じ薬局を2回以上利用したら患者負担減ということで、逆に言えば、複数の薬局にかかれば高くなることを意味している。また、後者の記事は、包括的評価導入とある。

この内容、当ブログで5月に書いている内容とほぼ同じである。

かかりつけ薬局制度、診療報酬で誘導するなら、ここを上げ、ここを下げるべき - 医療、福祉に貢献するために

患者負担減をアピールするより、複数薬局にかかった場合の管理の煩雑さに対し報酬アップ=患者負担増をアピールした方が、

「同じ薬局に通った方がこんなにオトク!!」

「複数の医者に通っていても、薬局はひとつにまとめると年○千円安くなる!!」

「お薬手帳を持たずに、いつもと違う薬局に行くと、損をする!!」

といった感じでマスコミが取り上げてくれるのではないだろうか。

ちなみに、改定の前にはパブコメや公聴会が開催されるが、実態は意見や参加者の大半(9割近く)は医療関係者である(前回改定時のパブコメ、公聴会に関する報告資料→中央社会保険医療協議会総会審議会資料 |厚生労働省)。また、診療報酬改定の説明会も対象は医療関係者だ。それらはそれらで良いとして、国民向けに噛み砕いた説明をしても良いと思う。行政が診療報酬改定により市民をあるべき方向に誘導するためには、もっと市民向けに時間を割くべきであり、うまくマスコミを巻き込む戦略も練る必要があるのではないだろうか。

2015/12/06

【初心者向け企画】分析の初歩を学ぼう 第3回 多峰性のヒストグラム(実践的なヒストグラム作成の続き)

2015/12/6 コメントを書きました (Masaru Watanabe)

多峰性ということは、ピークが複数あるということと理解しています。お年寄りと子供は病院に行く回数が多そうなので、年齢を横軸にとり受療率をヒストグラムにしたら、多峰性の図になるのではないかと思い、図を作成して見ました。

→関節リウマチの在院日数分布が面白いのでは?と前回提案したつもりだったのですが、完全無視ですか・・・

外来受療率(平成23年度 患者調査を基に作成)

何となく、想像通りの結果になりました!!

→きれいなグラフになりましたね!・・・・と言いたいところですが、これはただの棒グラフです。一見、縦軸は度数分布のように見えますが、実際は16%、14%・・・といった割合を表しています。つまり、事象の分布を表しているのではなく、あくまでも比率を年代ごとに比較したグラフで、これは棒グラフでも折れ線グラフでも構わないものです。

 ヒストグラム: データのちらばり具合を示すために使う
 棒グラフ: データの大小を比較するために使う
 折れ線グラフ: 連続的に変化するデータの大小を比較するために使う


前回の課題までは、それぞれの数値をまとめる作業部分も含め、「データ」タブの「データ分析」をクリックしてヒストグラム作成していましたが、今回使用した外来受療率のデータは年齢5歳刻み(0歳、1~4歳までは除く)で人口10万人に対する人数を集計してくれているので、単純に縦棒グラフの作成するだけでヒストグラムになりました。

→単純な棒グラフを作ったので、「データ分析」が要らなかったんですね。残念!!

次回は散布図を作る予定です。

多峰性という形にばかり気を取られてしまったのかもしれませんが、ヒストグラムやりなおしです。

2015/12/05

【初心者向け企画】分析の初歩を学ぼう 第2回 実践的なヒストグラム作成

前回、【初心者向け企画】分析の初歩を学ぼう 第1回 ヒストグラムで、「目的意識を持とう」というお題をいただいたので、前回のデータを元に考察をすすめてみました。

2015/12/6 赤字でコメントを書きました(Masaru Watanabe)

課題① 名前が一番長い病院と一番短い病院で自分がその当事者だったら意識にどのような差が生じるか考えてみる

一番文字数が短い病院は「橘病院」で24.8%、一番文字数が長い病院は「長野県厚生農業協同組合連合会富士見高原医療福祉センター 富士見高原病院」で29.7%。あまりにもランダムに抽出しすぎて差がない結果となったので、病床数が一番少ない病院と多い病院で考えてみました。

一番病床数が少ない病院は「医療法人 豊資会 加野病院」で38.1%、一番病床数の多い病院は「藤田保健衛生大学病院」で83.1%でした。

他院より紹介ありの率の施設分布(黄色:加野病院の位置 薄緑:藤田保健衛生大学の位置)

加野病院の担当者になって考えてみる・・・
単純に他院より紹介ありの率の平均値を求めると42.6%なので、自院の38.1%はやや低いように思います。場合によっては何か問題があるように感じますが、ヒストグラムでみると、左の山のちょうど中腹位にあり最も平均的なポジションとも言えます。他の多くの病院も似たような値であるため、この「他院より紹介ありの率」が経営等の大きな障害になっていると考える必要はなさそうですが、紹介患者を受け入れる努力の余地はまだまだあると言えそうです。

→平均値とヒストグラムを一緒に考えてみた点は非常に良いと思います。右側になだからな分布であるため、平均値はピークの位置よりも右側にずれています。ヒストグラムを作って確認することがベターと思いますが、何十、何百の項目を分析している場合などは、労力的にも難しいと思います。そのようなヒストグラムを作らない場合にも、平均値に加え、最頻値や中央値を一緒に確認することが大事と思います。

藤田保健衛生大学の担当者になって考えてみる・・・
83.1%は平均値からみても、ヒストグラムをみても上位に位置しています。紹介ありの率が高ければ、地域の中枢病院と言えるように思いますので、大学病院としての機能を象徴している数値と言えそうです。今後も現状を維持していけばいいのかもしれません。また、救急外来以外はほとんど紹介ということなのかもしれません。

→大学病院だけピックアップして、ヒストグラムを作ってみると興味深い結果が得られるかもしれません。課題②のテーマにも通じることですが、なるべく条件の揃った比較対象群を用意することで、より有益な示唆を分析から得ることができると思います。

課題② 病床数が多い群と少ない群にわけヒストグラムを作ってみる。差が生じるか。

上: 病床数の少ない群 下:病床数の多い群
上が病床数で並べて病床数が少ない902施設を対象とした図(以降、少群)、下が病床数で並べて病床数が多い902施設を対象とした図(多群)になっています。

違いがはっきりと出ました。少群は2群に分ける前の全体のグラフと比べ、左よりの急な山を描いていて、右側はほとんどゼロに近い横ばいになっています。一方、多群は真ん中にピークがくるなだらかな山になっています。「少群より、多群の方が全体的に紹介率が高い」ということが感覚的に理解できます。

→ヒストグラムの形に明確な差異が生じましたね。自分も答えを知らずに課題を出しているので、きれいな結果が出て、ほっとしました。

自院が病床数が多いにも関わらず、紹介率が低く山の左側に位置していたとしたら、何かしら手を打つ必要があるということかもしれません。

また、課題①で検討した加野病院は、病床数少群の中ではそこそこ良い数値だったと言えそうです。

→そのような解釈もできそうです。分析の仕方次第で、数値の印象が変わるということです。つまり、そこが「分析のスキル」であり、「説得力の源泉」でもあります。病院の経営改善や組織改革を主眼に置く場合、高度な分析手法は必ずしも必要ではなく、高校レベルまでの知識で大抵のことはできてしまいます。

まとめ

平均値と比較して良い悪いを考えるだけでなく、分布を見ることにより情報が増えることを理解できました。仮に平均値より低い場合でも、頻度が高いところに位置しているか否かによって、印象が変わると言えそうです。

また、ヒストグラムを並べることで、病床数のような属性の違いにより、分布結果が異なることをひと目で把握できることが分かりました。1,800以上の施設では、規模も機能も大きく異なっているはずで、そのような事情を考慮して分析することで、より有益な情報が得られるように思いました。今回は2群に分ける切り口として病床数の多い少ないの1種類だけでしたが、他の切り口を考え、実際にヒストグラムを作ってみる・・・という作業も楽しいのかもしれません。

次回は、ヒストグラムの残り、多峰性のグラフを分析してみたいと思います。

→ヒストグラムの作成とそこから見えてくる情報の可能性について、ある程度理解してもらったようで何よりです。今後、多くのデータの分析をしてもらおうと思います。余談ですが、ヒストグラムを作るときには、データ個数(N数)や平均値、標準偏差などを一緒に記載すると信頼性向上の観点から良いと思われます。

2015/12/04

がん拠点病院は拠点らしい実績があるのか

一昨日から分析しているがん拠点病院のデータ。

都道府県拠点病院・国立がんセンターをオレンジ色で、その他の拠点病院を青でプロットした。

横軸は単純にがん登録の件数。件数が多い施設は年1万件近くに達している一方で、少ない施設は160件弱。マスコミならば「実に50倍以上の格差が生じていた!!」と煽るところかもしれないが、大都市とそうでないところの地域性の問題もあるので、あまり意味が無いだろう。ただ、がん登録推進法が来月から施行されることで、拠点病院以外の数字も明確になってくる。拠点病院は単純に件数だけではなく機能・役割も含めて認定されているとは言え、拠点病院と周辺施設と比較し、数の逆転現象が起きていたりすれば、あらためて議論が起きる可能性は十分にあるだろう。(ちなみに、件数が最も少なかった病院では、周辺の市立病院の方ががん登録の件数が多くなっていると思われる)

がん診療拠点病院(409病院)のがん登録件数と「他施設診断 自施設治療」件数の占める割合
出所: がん診療連携拠点病院 院内がん登録 2013年全国集計 報告書(平成27年7月 国立がん研究センター がん対策情報センター)を基に作成

縦軸は集計登録数に占める「他施設診断 自施設治療数」の割合だ。簡単に言えば、周辺医療機関でがんと診断され、拠点病院に紹介されてくる割合である。拠点が拠点らしくあるためには、周辺からがんの患者が集まってきていることが極めて重要なポイントとなると考えている。

オレンジの点を見ると、比較的件数も多く、紹介されてくる患者比率も高い様子が見えてくる。つまり、都道府県拠点病院(拠点病院の中でも中核病院)は中核らしい役割を果たしていると言える。

都道府県拠点病院・国立がんセンターの中で、この「他施設診断 自施設治療数」の比率が高かったTOP3は次の3病院だ。

1.愛知県がんセンター中央病院
2.大阪府立成人病センター
3.がん研有明病院

逆に比率が低かったのは次の3病院となった(最も低い方から順に表記)。

52.山梨県立中央病院
51.滋賀県立成人病センター
50.福井県立病院

上位には大都市部の病院が、下位には地方の中核病院が並んだ。下位=悪い、と単純に考えるのではなく、診断前の時点で拠点病院に紹介されている、すなわち中核病院ががん診断・治療を圧倒的にリードしていると理解すべきかもしれない。

都道府県拠点病院っぽいところはどこか

都道府県拠点病院はグラフの右上に来ていることから、青色で右上にある施設を調べてみた。

件数3,000件以上: 大阪大学病院、埼玉医大国際医療センター、京都大学病院
件数2,000件以上: 新潟大学病院、弘前大学病院、群馬県立がんセンター

名前を見ると、「あれ? ここって都道府県拠点病院じゃないのか??」と思うところが並んだ。

1都道府県に2施設以上あるのは例外と考えると、上記施設が都道府県拠点に認定されることは無いのかもしれないが、実績は十分すぎるように思う。

余談だが、グラフを大きく外れた1,000件前後で紹介割合が極端に高いのは、鹿児島の相良病院と北海道の恵佑会札幌病院だ。これもまた、聞く人が聞けば、「あぁ、納得!」であろう。データって本当に面白いものである。

2015/12/01

思わず足を止めてしまう作品

昨日お邪魔した病院で見かけたキルティングの作品。



素晴らしいと思い、人が通らなくなるタイミングを狙って撮った写真が上の一枚。写真を撮るのに結構時間がかかってしまったのだが、その間、多くの人が足を止めて眺めていた。

所詮携帯で撮った写真なので、細部の様子は伝わりにくいが、とても手の込んだ作品で、しかも大きい作品だ。

前々から、病院には素晴らしい絵画などの美術作品が展示されていることが多いと思うのだが、ひと目につかないようなところに飾っている病院も少なくない。しかし、それではあまりにももったいない。

病院に来る人は、絵を見るつもりで来ているわけではないが、こういった癒やしの要素は極めて重要だ。また、副次的には、作品を作った人や、その家族は、病院に少なからず関心を持ち、プラスの要素が生まれると思われる。
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