2016/07/17

「本当に強い大学」を読みながら「本当に強い病院」を考える

海の日も含めた三連休は、土曜と月曜に仕事が入り、いつもの週末と同じようになってしまったが、昨日は、とある大学の大学院開設記念の講演会を拝聴してきた。その帰り道にちょうど読んだのが、臨時増刊・別冊 週刊東洋経済 臨時増刊 本当に強い大学2016

ランキングなどは、いつもながら、あまり興味はないのだが、馳浩文部科学大臣のインタビューが興味深かった。
残念ながら人口減少社会に入り、18歳人口はつるべ落としのように減っていく。そういった時代に、高等教育機関の機能を強化するには、規模は大きいほうがいいに決まっている。大学経営も安定する。 
「大きい方がいいに決まっている」かどうかは良く分からないが、大学と病院の課題感は似ている。メインターゲットが18~22歳前後か、高齢者かの違いはあれど、人口減少局面に突入し、需要が大きく変化する点は共通だろう。また、需要がある程度読める点も同じだ。
したがって、大学経営の観点から言えば、大学M&Aというのは避けて通れない。国公私立大を含めた再編も視野に入ってくる。(中略) いちばん心配しているのは地方のことで、地方創生を進めるうえでも各大学が生き残り策を考えるべきだ。
再編の話題も同じだ。しかし、再編すれば即すべての課題が解決するわけではなく、それぞれの地域の事情を考慮することが肝要であり、「各大学が生き残り策を考えるべき」という主張は非常に共感できる。また、再編については、次の一節も印象の残った。
-今後は国公私立を交えた再編が加速しそうでしょうか?
物事には順番があって、いきなり設置形態が違う私立と公立、私立と国立の統合は難しい。まずは同じ地域内の私学同士からで、教育内容が競合しないような統廃合はやむをえないと思っている。その次は同一地域の私学と公立で、最終的には国立との統合という思い切った判断になることも否定しない。
まさに、今日の医療機関の再編の話題や、地域医療連携推進法人の議論と似ている。国立は最後という主張は、国立=特別・聖域のように感じられ、正直あまり共感できないが、同じ地域の中で競合しないような統廃合がやむをえないという点は共感できる。

さらに次の一節も病院と似ていると感じた。
各大学には30年後、50年後を見据えて、世界で活躍する高度専門人材を送り出せる本当に強い大学になっていくための経営形態を考えてほしい。私学の場合、同族経営も多く、プライドだけが残っていると、残念ながら世の中から取り残されてしまう。釜ゆでのカエルのように、ぬるま湯につかっていたらいつの間にか命を落としてしまうことがないように、中期計画など計画性を持って経営判断を下す必要があるだろう。
同族経営=悪、みたいなステレオタイプ的な決め付けは良くないと思う。病院の世界では、民間病院の方が強い危機感を持って将来を見据えた取り組みをしている。むしろ、公立・公的の方がゆでがえるになりそうな印象だ。

似ている点もある一方で異なる点もありそうな大学と病院。大学は2018年問題に代表されるように、病院よりも少し早いタイミングで人口減少局面の時代に突入していく。大学がどのように課題を残り得ていくか学ぶことは、病院の将来の課題を考える上で参考になることがあるのかもしれない。