2017/04/15

レセプトの出現頻度は単純比較できない

昨日も書いた経済・財政一体改革推進委員会の資料に関連した話題を。

ワーキンググループで提示されていた資料には、都道府県別に性・年齢調整をしたレセプトの出現比を比較しているものがあり、非常に興味深いデータである。医療費の地域差を解消していく上で、重要なデータであることは間違いない。

ただ、気になった点もある。人工腎臓(慢性維持透析)については、レセプト件数の最も多い4時間以上5時間未満の件数だけを比較していたが、維持透析には4時間未満や5時間以上、複雑なもの、があり、それだけを比較する意味はないように思うのだが・・・。

参考までに、4時間未満と4時間以上5時間未満のレセプト出現比について、東日本と西日本に分け、箱ひげ図を書いた(外れ値は非表示)。
人工腎臓(慢性維持透析) 4時間未満、4時間以上5時間未満のSCR分布(東日本・西日本)
出所: 経済・財政一体改革推進委員会 評価・分析ワーキング・グループ 第2回会議資料  を基に作成
※4hrs:4時間未満 5hrs:4時間以上5時間未満  EAST:東日本 WEST:西日本
上のグラフの左ふたつ、東日本は、どちらの時間の中央値も100前後であるのに対し、西日本は4時間未満の中央値は極端に低く、4時間以上5時間未満の中央値がやや高く、そして箱が上に伸びていることが分かる。

平均値と中央値だけを比較したグラフも示す。東日本と西日本で出現比の傾向が異なる様子は明らかである。

人工腎臓(慢性維持透析) 4時間未満、4時間以上5時間未満のSCR平均値・中央地(東日本・西日本)
出所: 経済・財政一体改革推進委員会 評価・分析ワーキング・グループ 第2回会議資料  を基に作成


つまり、これらのレセプトは補完的な関係があり、それぞれ単独で比較する意味はあまりないと思う(レセプトの件数比が70万件弱と210万件弱で3倍近い開きがあるので、無意味ではないが)。本来は、5時間以上や複雑なものも含め比較をすべきであり、結果として見えてくるのは罹患率の違いだと思うのだが・・・。