2017/06/10

患者年齢層の違いは将来需要の差異につながる

先日の中医協、入院医療等の調査・評価分科会の資料について。

中央社会保険医療協議会診療報酬調査専門組織(入院医療等の調査・評価分科会)審議会資料 |厚生労働省

7対1病棟は相対的に若い患者が多いとのこと。

出所: 上記分科会資料

このような入院料の違いによって生じる患者年齢層の違いは、今後の人口推移との掛け合わせにより、需要が異なってくることを意味している。

今後10年~15年ほど、団塊の世代が80代~90代に達するため、地域包括ケア病棟や療養病棟は需要が増える。一方、7対1病棟は、そこまで需要が増えない。(ただし、地域差も激しいため、あくまでも増える・増えないは日本全体の平均値的な考え方)

ここ半年ほどセミナーや講演会で繰り返し述べていたのが、下記のグラフ。

7対1病棟や10対1病棟が対象となるDPC算定病棟の中でも、特に大学病院本院は若い世代が多いということを、病院指標の公表データから作成している。

出所:各病院ウェブサイト(病院指標の公表 2015年度実績)のデータを基に作成
(クリックすると拡大します)

上のグラフは全DPC病院の平均値に黄色い線を引いてあるのだが、ほとんどの大学病院本院は、それよりも若い世代の患者数の比率が高くなっている。

特定機能病院だけをまとめた資料であれば、先日の分科会でも示されていた(下記参照)。
出所: 上記分科会資料(オレンジ枠は弊社で付記)

年齢層の違いは、機能・役割の違いでもあり、それ自体には問題がないのだが、将来の医療需要という点においては、今後、急速に需要が減少する可能性がある(団塊ジュニア世代の影響もあるので単純ではないが)。

地域医療構想等で示されている地域全体の需要推移と、自院の需要推移には、ギャップが生じることを認識すべきだろう。