医療、福祉に貢献するために

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~ 株式会社メディチュア Blog

2017/10/01

経営改善のノウハウが詰まった議事録

8月に傍聴した東京都の都立病院経営委員会の議事録・資料が開示された。

第3回都立病院経営委員会「今後の都立病院の経営力向上に向けた取組」に関する検討部会 (平成29年8月1日開催) | 都立病院経営委員会 | 報告書 | 東京都病院経営本部 第3回都立病院経営委員会「今後の都立病院の経営力向上に向けた取組」に関する検討部会 (平成29年8月1日開催) | 都立病院経営委員会 | 報告書 | 東京都病院経営本部

傍聴後の感想をブログで書いたが(病院経営改革の話が聞けるんです、しかも無料で)、自分の偏見が入ってしまっているので、それを避けるには、議事録をご覧いただいた方が好ましいだろう。

一部、印象的だった箇所を引用する。

まず、末永アドバイザーの講演。刺激的な内容で非常に勉強になった。ブログで言及したPFIに関する意見のところを引用した。
PFIをやっているところが苦労をしているところを見ますと、PFIについては厳しい見直しをしないと先生方の努力、いろいろな努力をしても報われないんじゃないかというようなことを感じます。先生方も聞かれているかもしれませんけれども、かつて諸橋先生という有名な先生がいまして、この先生は自治体病院協議会の会長と日本病院会の会長をやっていて旭中央病院の院長をやっておられた先生です。その先生はいつも「入るをはかりて出ずるを制す」と言われていたといいます。その出る部分というのは、例えばいろいろありますけれども、きょうもいろいろ話題になっていますが、例えば薬を買ったり、あるいは診療材料を買ったり、あるいは医療機器を買ったりという出ていくほうですね。そこのところでの安く買ったりするというのは、経営努力だと思っています。私どももかなり厳しくやっております。
そういうところをPFIに任せ切ってしまって、そこでの部分、本来的には病院に来てもいい部分をそちらのほうに持っていかれるという部分についてはやっぱり見直す必要があるんじゃないかなと。要するに、いろんな問題点を出されましたけれども、正直言いましてPFIでもしこのまま行くとすると、売り上げを上げる以外、経営効率を上げるという方法は全く見当たらないんです。SPCのほうに大分取られてしまったりという部分があるんではないか。
出所: 第3回都立病院経営委員会「今後の都立病院の経営力向上に向けた取組」に関する検討部会議事録http://www.byouin.metro.tokyo.jp/hokoku/kaigi/documents/290801_kentoubukai03_giziroku.pdf

「PFIに任せきってしまって」という言葉は、話の流れを考えれば「経営努力放棄」とも受け取れる。医師は医療に専念し運営はプロに任せるという本来の趣旨を考えれば、任せることは決して悪いことではない。しかし、「本来的には病院に来てもいい部分をそちらに持っていかれる」とおっしゃられている懸念は、全体のマネジメントがうまく働いていないことを示唆しているように思った。

そして、正木アドバイザーの意見は時速165kmのど真ん中へのストレートみたいな鋭さだが、印象に残ったもののひとつとして、公立病院の経営改善の根本を考えさせられる次の意見だ。
行政的医療って私は初めて聞きましたけれども、こういう言葉があったんですね。今、お話を聞いていますと、400億円は正当な金額だというお話が私にはひがみで聞こえたんですけれども、これを400億円を正当化していくと、本当に都立病院、これから先、一体何をしなきゃいけないのかというときに、全く見えてこなくなるんじゃないかと思うんです。いや、これでいいんですよという話だったら、別に私たちも委員会として参加する必要もありませんし、これをどうにかしたいからということでお集まりになったんじゃないかと思うんです。今、実際400億円ですと、これから先、いろんな意味で診療報酬改定からいろんなものが上がってきたときに、病院の改善をしていないとすれば、400億円が500億円なり、500億円が600億円なりと、これはもう本当にすぐそういった金額に上がっていくと思う。それが都としては許されるんであるということであるんだったら、議論も何もする必要はないし、これが行政的医療で当然必要だということで、肯定的であるんだったら、私は何も議論ないと思うんですけれども、ただ、これが本当に行政的医療でかつ正しくて400億円投入しなきゃいけないのかというのを、やはりもっと分析して、本当に何が必要で何が必要でないのか。大体病床があり余っているというところの問題は何も解決しなくて、そういう意味ではいろんなものをお金さえ投入すればそれは全部行政的医療だという話だったら、何の解決も多分ないんじゃないかなと思うんですけれども。
※ 平成28年度における都立病院全体の繰入金総額 399億7,800万円
出所: 第3回都立病院経営委員会「今後の都立病院の経営力向上に向けた取組」に関する検討部会議事録http://www.byouin.metro.tokyo.jp/hokoku/kaigi/documents/290801_kentoubukai03_giziroku.pdf
正木アドバイザーは、6月のときも鋭い意見が多い。特に済生会熊本、横浜市東部病院の話は、具体的な数値も示されている。病院経営に対する考え方そのものが興味深い。

第2回都立病院経営委員会「今後の都立病院の経営力向上に向けた取組」に関する検討部会 (平成29年6月14日開催) | 都立病院経営委員会 | 報告書 | 東京都病院経営本部 第2回都立病院経営委員会「今後の都立病院の経営力向上に向けた取組」に関する検討部会 (平成29年6月14日開催) | 都立病院経営委員会 | 報告書 | 東京都病院経営本部

この議事録を整理したら(そのままでも良いが)、病院経営の書籍・読み物として、かなり価値があるように思う。雑誌等で見かける対談などで語る一般論と違って、明確にされた対象に向けたアドバイスなり意見なので、非常に強いインパクトがある。

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