2019/04/11

「介護従事者処遇状況等調査結果」から比較対象の把握の重要性を考える

下記の会議で、平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果(案)が示された。

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000202420_00017.html 第170回社会保障審議会介護給付費分科会(ペーパーレス)資料 平成31年4月10日(水)15:30~17:30 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000202420_00017.html

「第80表 介護職員の平均給与額等(月給・非常勤の者),サービス種類別,勤続年数別(加算(Ⅰ)~(Ⅴ)を取得している事業所)」の平均給与額をグラフにした。


濃い青線(平成30年平均給与額)が薄い青線(平均29年平均給与額)より上に来ている。昨日の会議では、勤続年数全体で10,850円アップしたと報告がされているようだ。ただし、である。これはあくまでも同じ人が1年でどの程度アップしたかを見ているもの。平成30年の勤続年数10年と、平成29年の勤続年数10年を比較しているのではない。平成30年の勤続年数10年と、その人達の平成29年を比較しているのだ。

それゆえ、平成29年度の調査結果もほぼ同じだ(下記参照)。

そこで、平成30年の勤続年数10年と平成29年の勤続年数10年を比較した。

ほとんど変わってない?? 勤続1~3年くらいは若干アップしたように見える。なお、調査に答えている事業所や職員の変化が給与に影響を与える可能性もあるが、母数はそれぞれ1万人以上いるので、影響はそれほど大きくないだろう。

これらの数値は適切にベースアップされているかなどを把握するためで、極めて重要な意味がある(そのため、基本給など、細分化して調査している)。ただ、「アップした」という意味を正しく理解するためには、何と何を比較しているか分からずにいると勘違いすることもある。注意が必要だ。